遺品と気持ち
遺品に手を
つけられないとき、
急ぐことと待てること
すべてを片付ける前に、今必要なことだけ分ける
思い出の品をいつ整理できるかは、人によって違います。まずは住まいの期限や手続きに必要な書類を確認し、迷う品は保留に。処分の判断と、情報を整理する作業を分けて進めましょう。
服を見ると手が止まる。机をそのままにしておきたい。大切な人を亡くした後、物に向き合うことが難しくなる場合があります。片付けが進まないことを、怠けていると考える必要はありません。
一方、賃貸住宅の手続きや相続の確認など、先に相談したいこともあります。気持ちを急がせるのではなく、作業を分けて負担を減らす方法を考えます。
1自分のペース
家族同士でも、進められる速さは違う
英国の公的医療サービスNHSは、死別後の反応は人それぞれで、感情に正解・不正解はないと説明しています。気持ちが揺れたり、突然強くなったりすることもあります。
同じ家族でも、残しておきたい人と片付けたい人がいるかもしれません。「もう大丈夫なはず」と決めず、今日は見るだけ、書類だけ探すなど、本人ができる範囲を相談しましょう。
参考:NHS|Grief after bereavement or loss死別後の反応の個人差、小さな目標、支援を求めること。英国の医療窓口を日本の窓口として案内していません
2先に確認
期限の確認と、処分の判断を切り離す
住まいの契約、支払い、相続に関する書類を探し、連絡先をまとめます。相続放棄などには期間の定めがあるため、借金の有無や相続の判断が分からない場合は、家財を売る・処分する前に弁護士などへ相談してください。
賃貸住宅の明け渡し時期は契約や状況によるため、管理会社などへ確認します。保留にしたい物を移す必要があるなら、保管場所と費用も含めて、無理のない方法を相談しましょう。
- 1
先に確かめる
住まい・相続・支払いなどの期限と相談先
- 2
残しておく
重要書類、貴重品、家族に確認したい物
- 3
気持ちに合わせる
服、写真、手紙など、今は決めにくい物
整理の優先順位の例です。財産の処分ができるかは、権利関係や相続の状況を確認します。
参考:裁判所|相続の放棄の申述相続の選択と申述期間、期間伸長の制度
3保留の方法
「今日は決めない」を、分かる形にする
迷う物をほかの処分品と混ぜず、「家族に確認」「今は保留」など、意味が分かる印を付けます。中身の写真を残せば、遠方の家族にも確認しやすくなります。
一つの部屋を一日で終わらせる必要はありません。小さな範囲で区切り、疲れたら終える時間を決めます。思い出を残すために写真を撮ることもできますが、写真にしたから手放すべきだと考えなくて大丈夫です。
家族や作業担当者に伝えるメモ
- 触らないでほしい物
- 例:机の引き出し、写真の箱は今日はそのまま
- 探したい物
- 通帳や契約書、本人が大切にしていた品
- 確認してから進める物
- 家族に写真を送って確認する品
- 今日の範囲
- 例:書類を探すだけ。処分は決めない
参考:国民生活センター|遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に残す物、見積もり、作業内容の確認
4助けを借りる
判断は自分たちで、作業は頼んでもよい
遺品整理を依頼する場合は、残す物、探索してほしい物、確認が必要な物を、見積もりの段階で具体的に伝えます。作業範囲、料金、追加や解約の条件も書面で確認しましょう。
眠れない、食べられない、日常生活を続けるのがつらいときは、片付けだけで解決しようとせず、かかりつけ医や地域のこころの相談窓口へ話してみてください。身近な人に付き添ってもらうこともできます。
今日は「残しておきたい物」を一つ共有するだけでも十分です。急ぐ手続きは、別のメモにして相談しましょう。
参考:国民生活センター|遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に残す物、見積もり、作業内容の確認
参考:NHS|Grief after bereavement or loss死別後の反応の個人差、小さな目標、支援を求めること。英国の医療窓口を日本の窓口として案内していません
参考:厚生労働省|こころの健康相談統一ダイヤル日本の地域別の公的なこころの相談窓口
